文化財の複製・修復|製作者プロフィール
第3回 複製2

仕事内容

精密描写と質感の両立、
客観を得るために、工夫を重ねて挑む。
学校は彫刻科出身だが、京都科学工芸部へは複製の、なぜか彩色作業員として入社した。それ以来個人の創作活動から遠のいてしまった。そういうものだ
仕事として彩色を始めた当時は、ちょうど複製彩色の技術が躍進し、模写のように入念な描き込みをするようになったころだったと思う。精密描写と質感を同立させるのはなかなか難しく、どこまで近づけるのか終わりがない作業のように思ったことを覚えている。
複製も、資料に近づいて似るほどに、細部の差異が目立ち始めるものだ。だから要求はさらに厳しくなってくるのだが、技術はそのような際限のない要望に応えようとすることで進展していくということを、身をもって体得した。
以来、複製以外に伝統技法を複合させて作る模造品、恐竜化石の復元組み立て、遺跡の保存処理などなど、さまざまなことを体験したが、世の要望があるうちは、またそれを目指して自力を尽くし、結果が世に展示されて社会とつながっていくのは、仕事としては愉快なことだと思っている。
今後の抱負
複製に必要な技術情報や知識を
後輩につなげていきたい。
必要な技術情報や知識を後輩につなげていけるようにしたいと思う。

仕事内容

数メートルもある遺構から
実体顕微鏡で検査するような小さなものまで複製。
立体複製品の製作を担当しており、さまざまな立体の文化財から古生物化石まで手掛けています。数メートルもある遺構の複製から、実体顕微鏡での検査を強いられる小さな複製まで、その規模は多岐にわたります。
工場内の作業にとどまらず、国内外の博物館やさまざまな現場へ出向いて型取りを行っています。
今後の抱負
子どもたちが楽しみながら学べる製品を
いまある技術を生かして作っていきたい。
複製製作の仕事をすることで、いろいろな文化財に触れられ、昔の職人の知恵や工夫、古代の息吹を感じとることができる興味深い仕事です。
竪穴式組立キットのように、子どもたちが楽しみながら学べる製品を、いまある技術を生かして作っていきたいと思います。

仕事内容

文化財が持つ情報をありのままに
またわかりやすく観覧者に伝えるために。
立体物や平面の複製品などの彩色を主に担当しています。彩色という工程はそれまでの担当作業員のいろいろな作業を経て引き継いだ、いわゆる“最終アンカー”の工程で、形状を含めたすべてをチェックして完成させます。みんなの努力を背負い込む、とてもプレッシャーとやりがいのある仕事です。完成させるにあたって、実物資料を忠実に再現することはもちろんですが、それ以外にもご担当者の検査を受け、さまざまな要望にできるだけ添えるように努めます。その際に、この複製品を製作する意義ともなる新しい発見があることも多く、それが次の仕事に生かせることも少なくありません。
同じものは、ひとつとしてない貴重な文化財を1点1点手作りで作っているため、毎回資料をじーっくりと観察するところから仕事が始まります。そこから知ることができるさまざまな情報をありのままに、ときにはわかりやすく観覧者に伝えることが複製品の大切な役割であり、特に注意を払うところですが、材料や技術的な限界に当たるときもあります。そんなときにはいつも四苦八苦していますが、うちのスタッフ達はとっても物知りで貴重な(修羅場?)体験をしてきている人ばかりなので、たくさんのヒントや良い方法を教えてくれたりします。とても恵まれた仕事環境なのです。
今後の抱負
いろいろな仕事ができることも京都科学ならではの醍醐味。
さまざまな経験を複製品の製作に生かしていきたい。
さまざまな分野のエキスパートが揃う恵まれた環境のおかげで、甲冑の復元や山車人形の修理や植毛、壊れたお茶碗の修理などもするようになりました。いろいろな仕事ができることも、京都科学ならではの醍醐味のひとつです。
今後は、こうしたさまざまな経験を複製品の製作に生かし、また複製品の製作で培ったものを他分野でも応用できるところは応用し、みんなでレベルアップをめざしていきたいと考えています。