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どうやって組み立てる?大事なことは?
シナリオ作りとそのゴール

京都橘大学野島先生・マルティネス先生

※この記事は2018年4月に発刊された広報誌"SimSim vol.3"に掲載された記事の完全版です。

今まで2回にわたり京都橘大学看護学部野島先生マルティネス先生のお話を掲載してきました。今回は、京都科学のシミュレータ"SCENARIO"に搭載しているシナリオのご監修を頂いたお二人に、そのシナリオの内容を伺いました。

京都橘大学 インタビューシリーズ

【第1回】「すべて」が現場につながる①
【第2回】「すべて」が現場につながる②
【第3回】シナリオ作りとそのゴール (★この記事です)

監修頂いたシナリオの意図

まず、各シナリオ作成の意図について、それぞれの想いを伺いました。

京都橘大学看護学部監修 SCENARIO内蔵シナリオ一覧
症状対応シリーズ
動悸を訴える患者への対応
喘息発作患者への対応
初めて化学療法を受ける患者への看護
腹痛を訴える患者への看護
術後患者への看護シリーズ
術直後患者への看護 全身状態の観察
術後患者への看護 ①体位変換
術後患者への看護 ②呼吸器合併症
術直後患者への看護 ③術後出血
術後患者への看護 ④離床
人工膝関節置換術をうけた患者への看護

症状対応シリーズ

野島  そもそも学生は正常しか知らないんですが、ひとつの手技にしても異常の場合に方法を変えなきゃいけないというところを学んでほしいという思いがあったので、このシリーズを作りました。こういう症状がある場合は同じバイタルサイン測定にしても、方法をこう変えないといけないんですよ、とか、こういう症状を抱えて生活されている方にどう関わりますか、という点を考えてほしい。症状に合わせて自分たちの行動を変える、また、関わりによって患者さんは変化するというところを学んでほしいという思いです。

搭載シナリオをチョイ見せ!→

喘息発作患者への対応(PDF)


術後患者への看護シリーズ

マルティネス  手術した患者さんって初めて見るしどこから何をしたらいいかわからない…という状況にはさせない!という気持ちで作りました。患者さんも痛いし苦痛だし、というときに、どうやってきちんと患者さんの状態を観察できるかについて、思考も行動も伴うようにって。あと、どこの学校でも、周術期の練習はやっているので、そこの手助けになるな、と。

野島  術後の再現というのはSCENARIOの得意分野で、一番SPではできないところ。また、このシリーズでは患者さんが同じ人物なので、一応流れになっています。

このシナリオの目指すところ

京都橘大学野島先生・マルティネス先生

マルティネス  一番小さいゴールはシナリオに設定された目標を達成することなんですが、裏ゴールみたいなのがあるというか(笑) 橘の理念「人によりそう看護」を反映している部分なんですが、どうしても患者さんとの距離が縮まらないとか、患者さんが求めておられるその時に適した声掛けができないとかそういう学生は沢山いるんだけど、それを極力なくしていきたい。シミュレーションの中でできるだけそういうこともできていければいいなと。

野島  そうですね。私たちが監修したシナリオの中には『人によりそう看護』をアイコンとして入れていたりします。

マルティネス  例えばシナリオの行動リストでは、ある対応の実施前・実施中・実施後という項目別に行動を入れていて、例としては最後にナースコールを手元に置くとかもアイコン化されています。最後に患者さんの安全を確保してから離れる配慮ができるところまでを行動のセットにしちゃう。実際こうすることで、実習でも「ナースコールここにあるので、何かあったら押してくださいね」という声かけまでをセットにして動けている学生が2年生でもいます。

野島  教育理念や学生の特性によって、シナリオを使われる際は、カスタマイズしてもらうといいと思います。各学校独自の、学生に学んでほしいことを盛り込んで。

シナリオを作るコツって?

欲張らず、目標を絞る

野島  すごく難しくて、たくさん勉強したんですけど、どこでも言われる基本は、「目標からちゃんと決めましょう」と。何を学ばせたいかをはじめに決めて、じゃあそのためだけにっていうことにして、一番大事なことは、欲張らない。

マルティネス そう、盛り込みすぎ!

野島  教員の性ですかね。あれも学ばせたい、これも…って。余分なものが入るほど学生は学ばなきゃいけないことに集中できない。僕らも一番頭を悩ませたところでしたね。特に学生対象のシナリオはひとつひとつの行動に時間がかかるので、ほんとに絞らないと、全然目標達成に行かないと思います。

マルティネス (今回監修した術後シリーズについて)術後シナリオひとつにしても、場面を区切ってシナリオを作って、1つ1つを見ていくというので、シリーズものになっています。

野島  現実で起こる場面を全てシミュレーションすることは不可能で。1つの場面を切り取ってシナリオを作り、どういう準備が必要でどういう思考が必要で…っていうところを学ぶことができれば、他にも応用がきいていくと思っています。どんなシーンでも、どこでも看護ができる人を育てる、というのが目標ですね。


全3回にわたりお送りしてきた京都橘大学看護学部のお二人のインタビュー、いかがでしたでしょうか?
今回お話し頂いたシナリオは、京都科学の多職種連携ハイブリッドシミュレータ"SCENARIO"でお使いいただけます。お気軽にお問い合わせください。




▼ この記事に関するご紹介 ▼

京都橘大学 京都橘大学

京都橘大学は、国際、人文、教育、社会、医療系の幅広い分野が集う総合大学です。二〇〇五年四月、関西の四年制私立大学でもいち早く設置された看護学部では、充実した教員陣と独自のカリキュラムにより九一七人の卒業生を輩出。自らの知性や感性を磨き、倫理観を養うことで看護の本質を究め「人によりそう看護」を実践できる看護職者を養成しています。また、大学院看護学研究科博士前期・後期課程を設置し、新たな看護を創造できる研究者・教育者・管理者や高度な看護実践者を育成しています。

京都橘大学 野島先生 野島 敬祐 先生

京都橘大学看護学部 専任講師
三重県立看護大学看護学部を卒業し、看護師・保健師免許を取得。関西医科大学附属枚方病院、洛和会音羽病院京都ER救急救命センターで看護師として勤務した後、宝塚大学看護学部で助手・助教を経て、現職に至る。その間、大阪府立大学大学院看護学研究科で博士号を取得。現在は救急・災害看護学や看護基礎教育に関する研究活動及び教育活動を行っている。

京都橘大学 マルティネス先生 マルティネス 真喜子 先生

京都橘大学看護学部 専任講師
鳥取大学医療技術短期大学部卒業後、国立国際医療センター(現国立国際医療研究センター)のICUで勤務。その後、JICA青年海外協力隊看護師隊員としてエルサルバドルの国立病院内ICUで看護活動を行う。看護専門学校での教員、京都橘大学看護学部で助教を経て、現職。三重大学大学院医学系研究科博士後期課程在学中。国際看護及び看護基礎教育に関する研究、教育活動を行っている。

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